3年たてば派遣から正社員になれる?【直接雇用は4人に1人の現実】

皆さんは、3年ルールという言葉をご存知ですか?

3年ルールとは、派遣社員として3年間働いていれば、派遣先の会社で正社員になれる、とされている制度のことです。

 

この制度が記されているのは、労働者派遣法(正式名:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律)で、しっかりと法律として定められているもの。

ですので、3年後、派遣から正社員になる方も少なくありません。

 

大谷
ですが、果たして本当に正社員になれるのか…。その点が一番気になるところだと思います。

これから3年間もかけて派遣から始めるわけですから、それは当然ののことです。

 

そこでこの記事では、3年ルールによって派遣から正社員にはなれるのか、またなれるとしたらどれくらいの可能性があるのか、などを詳しくお話していきます。

正社員を目指してこれから派遣を始める、あるいはすでに派遣をしている方にはかなり参考になる内容ですので、必ずお読みください。

 

3年後、派遣から正社員になれた割合について

2015年、労働者派遣法は雇用安定に関する処置が追加されました。

同じ部署に3年間配属していた場合

  • 派遣元は派遣先に直接雇用を依頼できる
  • 派遣先は直接雇用の依頼を受け入れる努力義務が発生する

 

これにより、派遣社員の皆さんは、3年後には派遣先の会社で正社員になれるようになりました。

 

一見、3年間がんばって働けば正社員になれそうに感じますよね?

ですが、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「人材派遣会社におけるキャリア管理に関する調査」によると、直接雇用された割合はこのように発表されています。

3年後直接雇用に転換した割合:27.3%

 

なんと、4人に1人ほどしか派遣先で直接雇用されていませんでした。

かなり割合としては低いですよね。ですが、これは派遣社員に行った調査ですから、実際のことなのです。

 

直接雇用は必ずしも正社員ではない

ここで、用語の説明をさせてください。

 

大谷
ここまで何度か「直接雇用」という言葉が登場していますね。これは、派遣会社を介さずに派遣先の企業と契約を結ぶことを指します。

直接雇用はあくまで派遣先と直接契約を結ぶこと。ですので、正社員だけではなく、契約社員やアルバイトも含まれているのです。

 

では、直接雇用のうち、どれくらいが正社員になれていたのか。先ほどと同様の調査の中なら紹介します。

直接雇用のうち正社員の割合:20.3%

 

5人に1人ほどしか正社員ではありませんでした。つまり、3年後に派遣から正社員になれる割合は、27.3%×20.3%≒5.5%となります。

 

しかし、なんでこんなにも派遣から正社員になれた割合が少ないのか。

それは、雇う側(派遣先)の考え方と、法律上の抜け穴が関係しているんです。

 

派遣は3年経つ前に雇い止めされる可能性が高い

2015年に労働者派遣法が改正されたにも関わらず、派遣社員は3年後にたった5.5%しか正社員になれていません。

では、なぜそんなにも割合が少ないのか。それは、派遣先が雇い止めをする傾向にあるからです。

 

雇い止めとは

  • 利用者が労働者の契約更新をせずに、雇用期間満了をもって退職させること

 

これは、社会でも大きな問題になっています。参考に以下の記事を紹介しますのでご覧ください。

ベテラン派遣切り横行 「3年超せば正社員」回避か 9月「義務化」前に“雇い止め”相次ぐ

 

とはいえ、なんで派遣先は雇い止めをするのか不思議ですよね?

それには、大きく2つの原因が関係しています。その原因とはこちらです。

  • 派遣先に得られるメリットがない
  • 雇い止めは法律上違法ではない

 

派遣先に得られるメリットがない

派遣社員はある意味、会社にとって都合の良い存在です。

というのも、一定の期間が終われば退職させることができる上、人件費も正社員より安く抑えることができるからです。

 

仮に派遣社員を正社員として雇うとなると、会社には以下のデメリットが発生します。

  • 簡単に退職をさせられなくなる
  • ボーナスや退職金を支払うことになる

 

大谷

ですので、よほど優秀で手放したくない人でない限りは、派遣から正社員にしようとは考えないのが普通です。

 

雇い止めは法律上違法ではない

労働者派遣法の改正で、派遣先には3年後に直接雇用をする努力義務が追加されました。

しかし、これはあくまで3年を経過した場合で、3年を超えなければ、努力義務は発生しないのです。

 

つまり、3年を超える前に契約を終わらせれば良いだけの話です。しかも、契約満了で退職してもらえば、法律上は特に問題もありません。

 

この2つが原因となり、会社は雇い止めをするのが当たり前となっています。

そのために、たった5.5%しか正社員になれていない、という現実があるのです。

 

派遣から正社員になるには3年も待つ必要はない

確かに、3年後に派遣から正社員に転身する方はいます。それは否定できません。

ですが、それは本当にごくわずかな人数です。もし3年たって正社員になれなければ、新たな場所でイチから始めなくてはいけません。

 

大谷

しかし、正社員になりたいのであれば、わざわざ派遣からスタートして3年間も待つ必要はありません。

転職活動をすれば、やり方次第では1ヶ月程度で正社員になることだって十分可能なのです。

 

転職をして正社員になるためのポイントについては、『派遣から正社員になるには転職が一番?【成功させる3つのポイント】』にまとめています。

正社員として働きたい方は、必読の内容ですのでご覧ください。

関連記事

「派遣から正社員にって考えて派遣社員として働いてるけど、なかなか大変そう。転職をしようかとも思うけど、このまま派遣から頑張った方がいいのかな。」   正社員よりプライベートも確保しやすく働きやすい派遣社員。 とは[…]

 

以上です。

 

3年たてば派遣から正社員に、というのは法律上は可能ですが、現実はそうではありません。会社の良いように使われて、雇い止めに合わないようにしてくださいね。

 

おわり